それが今から約一万年前に突然大決壊して、膨大量の冷淡水が一気に大西洋に流れ込んだのです。淡水は海水より比重が小さいので、その冷淡水は大西洋全体を広くおおうことになりました。その結果、地球規模での異常気象が頻発し、気温を急下降させたと考えられるのです。当然ながら人類は、深刻な食糧不足に遭遇することになりました。そして「農業」が始められたのです。ちなみに以上の記述はすべて、グリーンランド氷河のボーリング調査の結果をもとにして、農業のルーツを探ろうという、NHKのテレビ番組の論説によるものです。ここからは、私播磨屋助次郎独自の考察になります。この「農業」の開始が、当然の帰結として、それまでの人間社会にはなかった持てる者と持たざる者という不自然な格差を生み出してしまったのです。それがさらに高じて、持てる者は優等、持たざる者は劣等などという、とんでもないナンセンスなへ理屈がまかり通り始めたのです。そしてそのへ理屈がまた次のへ理屈を生むという、悲劇的悪循環が次々とくり返されていったのです。そして、一万年後の今日の「勝ち組」と「負け組」につながってきているのです。9
元のページ ../index.html#10