す。人間だれしも、何より一番大切なものはその命です。医療は、そんな大切な大切な人の命を取り扱う仕事なのです。その当事者である医者に、人並みはずれた高い見識とそれを実践するに足る崇高な人格とが要求されるのは、ごくごく当然のことなのです。い自分と小さい自分という意味です。「仏教」の理想は、一言で言えばこの「小我」から「大我」への目覚めにあります。いわゆる悟りを開くということです。わち大きなホントの自分を発見することなのです。そしてそれは、単に「仏教」のみならず、古今東西にわたるすべての宗教が等しく追求し続けてきた人生の窮極目標ななのです。それは、有史以来ほんとうに悟りを開いた人間がはたしてひとりいたのかいなかったのかというぐらいに難しいことなのです。話は突然変わりますが、仏教用語の中に大我・小我ということばがあります。大き「悟りを開く」とは、「小我」すなわち小さなウソの自分を脱して、「大我」すなしかしながらその達成は、困難も困難まことにまことに至難のわざ中の至難のわざきゅうきょく第四章 医療の真実のです。 89
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