げ落ちる雪だるまと同じです。基準が基準を生み、競争が競争を呼んで、人間社会は見る見るうちに、複雑怪奇で不平等きわまりない不自然なものへと転落していったのです。そしていつの間にか、そんないきさつさえ全く分からなくなってしまったのです。こうして人類は、ナンセンスこの上もない優劣競争の暗く長い大迷路へ深々と迷い込んできてしまったのです。は、抜きつ抜かれつどこまで行ってもいつまで続けても永久にきりがない、文字どおりの地獄競争なのです。存競争です。しかし、それには自ずから限度があります。人類以外の生きものたちの競争は、必要限度を超えて続けられることは決してないのです。「エゴ」をもっともっとと際限なく拡大してゆくのは、いえ拡大してゆかざるを得ないのは、ひとり人類のみなのです。人類はこうして、「エゴ」を無限に拡大してやまない不自然この上もこうして、人類最初の優劣基準ができあがってしまったのです。あとは、坂道を転優劣競争は、知ってのとおり、どちらがより優秀かを競う相対的な競争です。それもちろん、自然界にも競争がないではありません。生きるための競争、いわゆる生 36
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