です。「やっぱり私なんかにできるはずがないのだ。ばかなまねもたいがいにしよう」とです。とかしてください」という声なき声がです。しかも今度は、その上にさらに強い調子の別の声まで聞こえ出したのです。「何とかしてやれ。何とかしてやれ」とです。これは、明らかに自分自身の声でした。強い方の自分が、逃げよう逃げようとする弱い方の自分を、ひきょう者呼ばわりしながらさかんに責めたててくるのです。「一体どうしろというのだ」とです。すると両者は口をそろえてこう言うのです。「自分で考えろ。歴史の中になかったら、自分で考えたらよいではないか」とです。類の歴史の中にさえなかったその答えを、私ごとき凡人に一体どうやって究明しろというのかと思ってです。私は、再び深いならくの底へ突き落とされてしまいました。そしてさじを投げたのしかし、一ヶ月もするとまた聞こえ始めたのです。例の「何とかしてください。何この両面攻撃にはほとほとまいってしまいました。そこで私は尋ねてみたのです。私は開いた口がふさがりませんでした。四聖人まで含めた全世界のそしてまた全人第一章 今なぜ真実なのか 25
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