で愚かな存在ではないはずだからです。実際には、こんなふうに展開するだろうと考えられます。ちろん実在する国である中から、またまた、しかし今度こそほんとうにほんとうの不思議を実現してゆくのです。持ち前の強力な団結力をフルに発揮して、過酷な生存競争を果敢に戦い抜き、とうとうその頂点に立つことに成功するのです。ありとあらゆる物品やサービスが国中にあふれ、国民は浮かれに浮かれてぜいたくと享楽の限りを尽くすようになってゆくことでしょう。ただしこのシナリオは、もちろんそんなことにはなりません。「人間」は、そこま「とある不思議な国」はるかな古代より連綿と続く、ほかに例を見ない非常に特殊な国がらのその国は、実体経済は、完全にこの「とある不思議な国」のひとり舞台になってしまいます。しかし、それがその国の限界なのです。虚構経済の本格的な台頭とともに、その空世界への配慮から具体的国名はあえて伏せているが、もが、ほとんど絶望的とも思える大きな大きな自己犠牲の第六章 経済の真実 ーー 161
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