現実的生活感覚から遠くかけ離れたものになってしまうのです。主たる競争の場が、大多数の一般人には縁もゆかりもない、非常に高度な理屈の世界に移行してゆくのです。例えばハイテクやバイオ、インターネットやコンピューターゲーム、そして宇宙ビジネスや不老不死ビジネスなどなどにです。ごく少数の国や人々に限られてしまいます。世界中の大半の国々や人々は、その販売市場や生産労働力としてただ利用されるだけで、利益など何ひとつとしてありはしないのです。いえ、利益どころか実生活に何の関係もない事物への無用な欲望を次から次に刺激拡大されて、物心両面で大迷惑をこうむるばかりなのです。速に進んでゆくのです。もちろんその裏では、そんな矛盾に満ちた社会のあり方への不安や不満も急膨張してゆきます。テロや暴動を初めとするありとあらゆるいまわしい事件や出来事が世界中で日常茶飯事化するのです。経済の中身が単なる人間同士の優劣競争の道具にされてしまい、「生きる」という当然ながらそんなところまで勝ち残ってゆけるのは、種々の好条件に恵まれたごくこうして優劣と貧富の差がどんどん大きくなり、自然環境と人心の破壊や荒廃が急第六章 経済の真実 159
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