在を少しも意識させないからこそ「空気」なのです。「空気」を見破ることは、なかなか至難のわざなのです。余りにもソフトな、しかも全人類を何千年にもわたって支配し続けてきたとてつもない「空気」なのです。絶対的な「まさか」になってしまったとしても何ら不思議ではないのです。なからずいただろうと思います。この私のようにです。しかしそのだれもが、すぐにこう考え直してしまったのです。「そんなばかなことがあるはずがない」「私ごときがまさか」「いや、たとえそうだったとしても私ひとりではどうしようもない」などなどとです。そしてその大半が、それ以上深く考えることなく再びもとの「空気」へもどっていってしまったのです。ソを完全に見破ってしまった人間もいないではありませんでした。哲人や覚者、ある人間だれしも、まさかという思い込みをしてしまうものです。余りにもシンプルなもちろん、永い永い人類の歴史です。そんな「空気」にふと疑問を抱く人間も、少もちろんごくごくまれながら「自分」をとことん死守して、「空気」の本質的大ウ 116
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